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NDL 書誌情報ニュースレター2017 年1 号 (通号40 号) 第二は、改題関係にある刊行物を一括して検索できる識別子を新設するか、という点です。同一内容で媒体だ けが異なる刊行物を一括して検索するには、Linking ISSN(ISSN-L)[4]が活用できますが、改題関係にある複数 の刊行物もまとめて検索できるような識別子はありません。このような識別子の新設の要否、新設する場合の付 与方法が問題となります。 第三は、米国情報標準化機構(NISO)による電子逐次刊行物の交換のプロトコル(PESC)[5]の動きをふまえた、 タイトルよりも詳細な単位(巻号や記事)の識別への対応です。ISSN はタイトル単位で付与される番号であり、 それだけで巻号や記事を識別することはできません。PESCでは、ISSNをタイトル単位での一意の識別子とみなし、 DOIと組み合わせることにより、巻号や記事レベルの個別のファイルまで導く方法が示されています。 2. 標準化の動向 国際センターでは、変化する情報環境の中でISSN の普及を促進すべく、さまざまな取組みが行われています。 その一つに、逐次刊行物に関する規格や目録規則の改訂への関与があります。 図書館の目録の国際的な標準化は、書誌レコードの機能要件(FRBR)等の参照モデルに基づいて、国際目録原 則覚書(ICP)が策定され(2009 年。最新版は2016 年12 月版)、それに対応するために国際標準書誌記述(ISBD) が改訂される、といった流れで進められています。ISSN マニュアルはISBD に準拠しているため、ISBD の改訂の 影響を受けます。そのため、国際センターのメンバーがIFLA 目録分科会や逐次刊行物分科会(Serials and Other Continuing Resources Section)に参加しています。 また、書誌データ流通フォーマットの標準化については、米国センターから、米国議会図書館等により BIBFRAME[6]の開発が進められていることが報告されました[7]。 3. 国際センターの動き 国際センターでは、ISSN 付与済み書誌データのデータベースISSN International Register[8]の更新作業の一 環として、搭載データの一部項目の無料公開を検討しています。現在、ISSN International Register に搭載され たデータの利用には登録が必要で、有料です。たとえば、タイトルや出版者等の一部の項目を無料で公開するこ とで、ISSN が付与された書誌データが広く利用できるようになります。また、これらのデータをリンクト・オー プン・データ[9]として、ウェブ上で利用しやすい形で提供することで、ISSN の利用価値がさらに高まると考えら れます。 データベースの更新に関しては、このほかに、課金を視野に入れた国際センターによるISSN の付与手続きの効 率化や、オンラインの学術情報資源(学術雑誌、会議録、学術リポジトリ等)の書誌データを無償で公開するROAD (Directory of Open Access scholarly Resources)とISSN International Register の両データベースの統合 が計画されています。 また、最新の「ISSN 国際センター戦略計画」が示されました[10]。これは、2016 年4 月に開催された理事会と 総会で承認された計画で、六つの目標が設定されました。(1)ISSN ネットワークの運営の改善・向上(各国センタ ーへの支援の充実およびセンター新設の援助)、(2)ISSN のデータ、製品およびサービスの向上(ローマ字化され る前のデータなどのISSN International Register 搭載データの充実、逐次刊行物同士の改題などの関連を視覚 的に示す仕組みの開発)、(3)国際センターのIT インフラ更新、(4)The Keepers Registry、GOKb 等との連携関係 -12-

NDL 書誌情報ニュースレター2017 年1 号 (通号40 号) の構築、(5)国際センターの意識やガバナンスの改善(理事会の開催頻度の向上、ウェブサイトの充実、広報の強 化等)、(6)ISSN データの広範囲にわたる共有(オープンアクセスおよびリンクト・データへの対応)の6 点です。 各国センター設置の世界的な拡大への対応も見られました。ラテンアメリカではセンター未設置国が多かった ために、今回の ISSN センター長会議に先立って、まだセンターがないキューバ、パナマ、ペルーも含めたラテン アメリカ諸国によるセッションが開催されました。セッションでは、ISSN 国際センターからは ISSN ネットワー クの組織と目標について、各国のセンターからは付与手続きと実務上の問題点や取り組んでいる事業につい て、それぞれ説明がありました。これを受け、すでにISBN のネットワークに加入しているパナマとペルーから は、その延長としてISSN にも加入する意向が表明されました。さらにセンター長会議の場では、スペイン語で情 報交換ができる利点を重視し、ラテンアメリカの地域における ISSNネットワークへの加入を促進するため、地 域グループの発足も決まりました。なお ISSNマニュアルには、英語版とフランス語版に加え、ラテンアメリカ諸 国の参加拡大に向けてスペイン語版がすでに加わっているほか、2015 年 12 月のロシアセンターの新設に対応 してロシア語版も公開準備中です。 【おわりに】 次回、第42 回ISSN センター長会議は2017 年11 月にモロッコ王国の首都ラバトで、それに続く第43 回会議 は2018 年に米国ワシントンD.C.で開催される予定です。ISSN 規格の改訂手続の進捗状況、ISBD をはじめとす るISSN に影響する国際標準等の改訂については、次回以降のセンター長会議でも引き続き注視していきます。 柳澤 健太郎 (やなぎさわ けんたろう 逐次刊行物・特別資料課) [1] ISSN ネットワークは、パリにある国際センターおよび各国センターで構成されています。ISSN 日本センタ ーについては、以下のページをご覧ください。 国立国会図書館. “ISSN 日本センター”「ISSN 日本センターについて」. http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/issn/index.html#anchor07, (参照 2017-01-27). [2] 前回の会議の参加報告は、本誌2016 年1 号(通号36 号)をご覧ください。 胡龍子. 第40 回ISSN センター長会議参加報告―ISSN ネットワーク設立40 周年に際して. http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_9910646_po_2016_1.pdf?contentNo=1#page=2, (参照 2017-01- 27). [3] ISBN を所管する日本図書コード管理センターのウェブサイトでは、「複数のファイル形式によって発行され る電子書籍には、ファイル形式ごとにそれぞれ別個のISBN コードを付与します。」と案内されています。 日本図書コード管理センター. “ISBN と日本図書コードのルール”. http://www.isbn-center.jp/guide/02.html, (参照 2017-01-27). [4] 本誌2010 年1 号(通号12 号)を参照。 逐次刊行物・特別資料課整理係. ISSN-L をご利用ください!. http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_1166400_po_2010_1.pdf?contentNo=1#page=4, (参照 2017-01- 27). -13-

NDL 書誌情報ニュースレター2017 年1 号 (通号40 号) [5] “米国情報標準化機構(NISO)、電子逐次刊行物の交換のプロトコルに関する推奨案を公開”. カレントア ウェアネス-R. Posted 2015 年6 月29 日, http://current.ndl.go.jp/node/28782, (参照 2017-01-27). [6] BIBFRAME については、本誌2016 年2 号(通号37 号)で紹介しています。 柴田洋子. ウェブ環境に適した新しい書誌フレームワーク:BIBFRAME. http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_9990074_po_2016_2.pdf?contentNo=1#page=2, (参照 2017-02- 15). [7] BIBFRAME についてのウェビナー(Webinar)も紹介されました。以下のページに、録画ファイルと資料が掲 載されています。 American Library Association. “Library of Congress BIBFRAME Developments”. http://www.ala.org/alcts/confevents/upcoming/webinar/101216,(参照 2017-02-15). [8] ウェブ上のインタフェースはISSN Portal(有料登録制)。 [9] 以下の「Linked Data/Linked Open Data」の項に説明があります。 国立国会図書館. “【参考】メタデータ関連用語集”. http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/standards/meta/glossary.html, (参照 2017-01-27). [10] 最新版は未公表。旧版は以下をご覧ください。 ISSN International Centre. “ISSN International Centre's Strategy (2015-2017)”. http://www.issn.org/wp-content/uploads/2013/08/Strategy_Web_ENG.pdf, (参照 2017-01-27). -14-

NDL 書誌情報ニュースレター2017 年1 号 (通号40 号) 平成28 年度遠隔利用者アンケート結果について―当館が作成する書誌データ(全国書誌データ) 【はじめに】 2016 年6 月20 日から9 月23 日までの期間、国立国会図書館の遠隔利用者(来館せずに利用できるサービスの 利用者)を対象に、当館が作成する書誌データ(全国書誌データ)に関するアンケートを実施しました[1]。ご協 力くださった皆さまに、お礼申し上げます。 このアンケートは、当館が作成する書誌データの利用状況を把握し、サービス改善に役立てることを目的にし ています。結果は以下のとおりです(有効回答数:149 件)。 【アンケート結果】
1. 回答者の属性(職業) 図1 回答者の属性 (有効回答数149 件) 平成26 年度に行ったアンケート調査では、図書館員が半数近くを占めていましたが、今回は、会社員・公務員 が最も多く、ほぼ同率で学生・大学院生、図書館員、次いで教職員となり、幅広い層の方にご回答いただきまし た。 2.全般的な利用状況 当館の書誌データの利用状況(検索、ダウンロード等)については、80%(120 件)が利用したことがある、 20%(29 件)が利用したことがないと回答がありました。当館の書誌データを利用したことがあるとご回答い ただいた方の、利用方法、利用頻度、利用目的は次のとおりです。 -15-

NDL 書誌情報ニュースレター2017 年1 号 (通号40 号) 図2 当館の書誌データの利用方法 (複数回答可、有効回答数120 件、そのうちオレンジ色の部分は図書館員の回答数) NDL-OPAC や国立国会図書館サーチの検索結果を閲覧するという回答のほか、NDL-OPAC の検索結果のファイルを ダウンロードして利用したり、図書館システムに取り込んで利用したりするという回答も、一定数ありました。 図3 当館の書誌データの利用頻度 (有効回答数120 件、そのうちオレンジ色の部分は図書館員の回答数) ほぼ毎日、週1 回以上と高い頻度で当館の書誌データを利用しているという回答が、全体では45 件 (37.5%)を占めていることがわかりました。図書館員では、月1 回以上の頻度で利用するという回答が9 割以 上を占めました。 17 9 8 1 109 31 13 3 2 5 0 20 40 60 80 100 120 NDL-OPACや国立国会図書館サーチの検索 結果を閲覧 NDL-OPACの検索結果をファイルでダウン ロードして利用 自館の図書館システムで利用 新着書誌情報、全国書誌、全国書誌(電子 書籍・電子雑誌編)のRSS配信を利用 全国書誌(電子書籍・電子雑誌編)のTSV ファイルをHPからダウンロードして利用 その他 1 11 9 2 8 37 37 38 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 ほぼ毎日 週1回以上 月1回以上 年1回以上 -16-

NDL 書誌情報ニュースレター2017 年1 号 (通号40 号) 図4 当館の書誌データの利用目的 (複数回答可、有効回答数120 件、そのうちオレンジ色の部分は図書館員の回答数) 書誌データの利用目的については、資料検索・貸出・複写申込みが最も多い結果となりました。一方で、図書 館員(28 名)のうち、目録作成を目的とした回答は16 件ありました。 3.図書館システムでの利用状況 「当館の書誌データの利用方法」(図2 参照)で、「自館の図書館システムで利用」を選択した方には、さらに 図書館システムでの取得方法と、当館書誌データを利用する理由を尋ねました。 図5 図書館システムでの取得方法 (複数回答可、有効回答数13 件、そのうちオレンジ色の部分は図書館員の回答数) NDL-OPAC からダウンロードしたファイルを取り込んで利用する方法が、最も多い回答でした。NDL-OPAC から 自館の図書館システムに書誌データを取り込む場合、検索結果を複数のファイル形式から選択し、ダウンロード して利用することができます。一方、国立国会図書館サーチのAPI を利用したシステムで書誌データを取得する 場合、ダウンロードに必要な作業が省略でき、より簡便に目録作成等ができます[2]。ただし、図書館システム での書誌データの利用には、そのシステムに当館の書誌データの取込機能が実装されている必要があります。図 書館システムのリプレースを検討される際などの参考にしていただけるよう、対応している図書館システムの一 覧をホームページに掲載しています[3]。 15 3 16 3 88 65 29 18 6 0 20 40 60 80 100 資料検索・貸出・複写申込み 調査・研究 目録作成 購入書籍等の選書 その他 1 6 1 5 8 1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 国立国会図書館サーチのAPI経由で取得 NDL-OPACからダウンロードしたファイルを取込む 不明、あるいはそれ以外の方法で取得 -17-

NDL 書誌情報ニュースレター2017 年1 号 (通号40 号) 図6 図書館システムで当館の書誌データを利用する理由 (複数回答可、有効回答数13 件、そのうちオレンジ色の部分は図書館員の回答数) 図書館システムで当館の書誌データを利用する理由としては、データが無償で利用できること、次いで品質が 高いことを挙げる回答が、多くを占めました。 4.書誌データ利用促進の取組について 当館では、書誌データを活用していただくため、ホームページでさまざまな情報を提供したり[4]、研修を行 ったりしています。これらのページをご覧になったことがあるか、また、研修へのニーズがどの程度あるかをお 尋ねしました。 図7 ホームページでご覧になったことのあるページ (複数回答可、有効回答数115 件、そのうちオレンジ色の部分は図書館員の回答数) 「全国書誌データ提供」のページを最もよくご覧いただいており、図書館員以外の方々(121 名)からも62 件の回答がありました。書誌データの活用につながるよう、これからもホームページの内容を充実させていきま す。 -18-

NDL 書誌情報ニュースレター2017 年1 号 (通号40 号) 図8 書誌データの便利な活用方法に関する研修について (複数回答可、有効回答数149 件、そのうちオレンジ色の部分は図書館員の回答数) 当館では、平成26年度から、図書館員をおもな対象として、書誌データの利用方法を紹介する説明会や研修 会を東京本館および関西館で開催しています。平成27年度からは、当館職員を研修講師として派遣する講師派 遣型研修に、書誌データに関するテーマを追加しています。 研修会の講義資料は、遠方である等の理由で参加が難しい方々にもご覧いただけるように、「書誌データ利活 用説明会ほか」のページ[5]で公開しています。 また、平成27 年度に実施した研修会の講義をもとに作成した動画を遠隔研修の教材として公開[6]しており、 インターネットで受講していただけます。 5.当館の書誌データへの要望事項(自由回答) 当館の書誌データへのご要望を伺ったところ、さまざまなご意見をいただきました。書誌データの内容に関し ては、シリーズ名の扱いの統一や出版者名の読みの統一、より多くの書誌データへの件名の付与を求めるご意見 等がありました。また、書誌データの提供方法については、Refworks 等の文献管理ツールに対応した形式な ど、より利用しやすい形式での出力のご要望がありました。また、手元にある資料の書誌データをISBN で検索 することが多いため、NDL-OPAC の詳細検索画面の初期表示項目にISBN を設定してほしいといった、検索インタ フェースに関するご意見もいただきました。 【おわりに】 今回のアンケートでは、図書館員においては、書誌データを目録作成の目的で利用するという回答が最も多く ありました。簡便な方法で書誌データを利用できる、国立国会図書館サーチのAPI 機能に対応した図書館システ ムも増えつつあります[7]。各図書館で、こうした図書館システムを使って目録作業を効率的に行うことで、資料 を迅速に提供でき、それぞれの図書館の利用者の利便性を高めることにつながると期待しています。 今後も、各図書館で有効に書誌データを活用していただけるよう、研修会の実施や、ホームページ等で提供す る情報の充実に取り組んでまいります。 (収集・書誌調整課) -19-

NDL 書誌情報ニュースレター2017 年1 号 (通号40 号) [1] 同様の調査を平成24 年度、平成26 年度にも実施しています。結果については、以下のページをご覧くださ い。 ・平成24 年度 本誌2012 年4 号(通号23 号)の「書誌情報提供サービス アンケート結果報告」 http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_4059584_po_2012_4.pdf?contentNo=1#page=26, (参照2017-01- 16). ・平成26 年度 本誌2015 年1 号(通号32 号)の「平成26 年度遠隔利用者アンケート結果について―全国書誌データ提供」 http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_9103524_po_2015_1.pdf?contentNo=1#page=6, (参照2017-01- 16). [2] API とは、検索可能なコンテンツを外部システムから機械的に利用できるようにするための仕組みです。国 立国会図書館サーチのAPI を利用した書誌データの取得については、以下のページをご覧ください。 国立国会図書館. “全国書誌データ提供-国立国会図書館サーチからの提供”. http://www.ndl.go.jp/jp/data/data_service/jnb/ndl_search.html, (参照2017-01-16). [3] 当館が提供する書誌データの取込機能を実装している図書館システムの一覧を、以下のページで掲載してい ます。 国立国会図書館. “書誌情報提供サービス”. http://www.ndl.go.jp/jp/data/data_service/index.html#data, (参照2017-01-16). [4] 全国書誌データについて、以下のページで紹介しています。 国立国会図書館. “全国書誌データ提供-全国書誌データの利用を考えている図書館のみなさまへ”. http://www.ndl.go.jp/jp/data/data_service/jnb/index.html, (参照2017-01-16). [5] 研修会の資料のほか、イベント等での発表資料も以下のページに掲載しています。 国立国会図書館. “書誌データ利活用説明会ほか”. http://www.ndl.go.jp/jp/data/data_service/event.html, (参照2017-01-16). [6] 図書館員向け研修の以下のページで公開しています。受講に当たってのお申込みは不要です。 国立国会図書館. “全国書誌データの利活用”. http://training.ndl.go.jp/course/under.html?id=50, (参照2017-01-16). [7] 各システムの対応状況は、脚注[3]の一覧をご参照ください。 -20-

NDL 書誌情報ニュースレター2017 年1 号 (通号40 号) 平成28 年度遠隔利用者アンケート結果について―Web NDL Authorities 【はじめに】 2016 年6 月20 日から9 月23 日まで、国立国会図書館の遠隔利用者(来館せずに利用できるサービスの利用者) を対象に、Web NDL Authorities(国立国会図書館典拠データ検索・提供サービス)に関するアンケートを実施し ました。平成26 年度に続き、今回が2 回目の実施です[1]。 Web NDL Authorities は、当館が作成・維持管理している典拠データを検索・利用できるサービスです[2]。 本アンケートは、Web NDL Authorities をより使いやすいものにするため、具体的な利用状況を把握すること を目的に実施しました。結果は、以下のとおりです(有効回答数:147 件)。 【アンケート結果】
1.回答者の属性(職業) 図1 回答者の属性 平成26 年度は、図書館員が半数近くを占めていましたが、今回は、会社員・公務員が最も多く、図書館員、学 生が続きました。 -21-

NDL書誌情報ニュースレター2017年 1号 (通号 40号) 2.Web NDL Authorities を知ったきっかけ 図 2 Web NDL Authorities を知ったきっかけ(複数回答可) 「 その他」には、 「司書課程の授業」や「業務のツールとして(知った) 」といった回答がありました。 3.利用状況 図 3 利用目的(複数回答可) 図 4 よく利用する機能(複数回答可) -22- NDL 書誌情報ニュースレター2017 年1 号 (通号40 号) 平成26 年度の結果と同様、典拠データの検索や典拠データを使った資料の検索を目的とした利用が多く見ら れました。具体的には、ある人物の同定識別や著作権情報の確認のために生没年を参照したり、人名の読みを確 認したり、普通件名に対応する分類記号(NDC、NDLC)を調べたりする際に典拠データがよく利用されました。 そのほか、普通件名の階層関係(上位語、下位語)や関連語を参照・検索する、シソーラスとしての利用も見ら れました。また、各国の国立図書館等の典拠データを統合して提供しているバーチャル国際典拠ファイル (VIAF)や、Wikipedia 日本語版の当該項目のページを参照する[3]等、Web NDL Authorities のリンク機能も使 われていました(図5 参照)。今回の結果から、Web NDL Authorities は、図書館の目録作成だけでなく、レフ ァレンスや調査研究にも利用されていることがわかりました。 図5 「川端康成」の典拠情報表示画面からのリンク(VIAF とWikipedia)[4] また、典拠情報詳細表示画面の「著者名検索」「件名検索」の各ボタンから、その典拠データの人物や組織等 が著者である資料やその人物や組織、物事がテーマとなった資料についての情報(書誌データ)を検索できる機 能を利用するという回答が多く見られました[5]。この機能により、国立国会図書館サーチ(NDL サーチ)に収 録されている当館の所蔵資料について、もれなく、そして無駄なく検索することができます(図6 参照)。 -23-

NDL 書誌情報ニュースレター2017 年1 号 (通号40 号) 図6 「川端康成」の典拠データを使った資料の検索 そのほか、典拠データのダウンロード[6]や、コンピュータ言語SPARQL[7]を使った機械的な検索・取得によ る利用も見られました。Web NDL Authorities では、ウェブ上で利活用しやすいデータ(Linked Data)として 典拠データを提供しており、図書館で利用するだけでなく、さまざまな分野のデータとのリンクや、ウェブアプ リケーションとの機械的な連携を実現することもできます。実際に、ウェブサービスやアプリケーションの開 発、オープンデータの作成等に典拠データを利用しているという回答もありました。 4.改善・充実すべき点 図7 改善・充実すべき点(複数回答可) -24-

NDL 書誌情報ニュースレター2017 年1 号 (通号40 号) 最も回答数が多かった「検索・操作のしやすさ」では、絞り込み検索等の機能の拡張や、表示画面の見やすさ の改善等のご要望が寄せられました。いただいたご意見を参考に、今後も改善を図ります。また、「データの内 容の充実度」につきましても、本誌2015 年2 号(通号33 号)でご紹介したような取組みを着実に重ね、より充 実した典拠データの提供を目指します。 【おわりに】 今回のアンケートでは、回答者の属性や利用目的から、Web NDL Authorities の利用者層の広がりが見られま した。Web NDL Authorities について、図書館の目録作成業務だけでなく、調べ物ツールとして、また、まとまっ たデータ・セットとして、さまざまな場面で利活用の可能性があることを改めて認識することができました。平 成26 年度のアンケート実施以降、特にウェブ上での利活用促進を目的として、本誌ではWeb NDL Authorities の 利活用のヒントとなるようなコラムや事例の紹介等を行ってきました[8]。さらに、国際的なデータの連携や利活 用の促進を一助となるように、英語版の画面やヘルプページ等を公開しました。今後も日本語、英語ともに、よ り使いやすい検索、表示機能の提供やヘルプページの内容の充実等を図っていきます。また、Web NDL Authorities について広く皆さまに知っていただけるように、イベントや研修等で直接ご紹介できる機会を増やしていきます。 最後になりますが、アンケートにご回答くださった皆さまに、お礼申し上げます。今後も、Web NDL Authorities をさまざまな場面でご活用いただけるよう、より使いやすいシステムによる、より充実した典拠データの提供に 取り組んでまいります。 (収集・書誌調整課) [1] 調査は、ウェブアンケート入力フォームからの回答方法を用いました。同様の方法で実施した平成26 年度 の遠隔利用者アンケートの結果については、本誌2015 年1 号(通号32 号)をご覧ください。 http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_9103524_po_2015_1.pdf?contentNo=1#page=10, (参照 2016-12- 19). [2] Web NDL Authorities の概要や使い方については、以下のページをご覧ください。 ・Web NDL Authorities について http://id.ndl.go.jp/information/about/, (参照 2016-12-19). ・本誌2014 年1 号(通号28 号)の「コラム:書誌データ利活用(3)―Web NDL Authorities(国立国会図書館典 拠データ検索・提供サービス)」 http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_8436034_po_2014_1.pdf?contentNo=1#page=12, (参照 2016-12- 19). [3] Wikipedia 日本語版へのリンクは、機械的な文字列のマッチングによって生成していますので、Wikipedia の機能により違うキーワードが表示される場合もあります。個人名、家族名、団体名の典拠データの場合は、そ の名称と同一の文字列が含まれるWikipedia 日本語版の検索結果一覧へのリンクが表示されます。なお、当館に おいてWikipedia の情報の信頼性を保証するものではありません。 [4] 以下の典拠情報表示画面を一部加工しました。 http://id.ndl.go.jp/auth/ndlna/00028570, (参照 2016-12-19). -25-

NDL 書誌情報ニュースレター2017 年1 号 (通号40 号) [5] それぞれのボタンから検索できる典拠データは、次のとおりです。 ・著者名検索:個人名、団体名、地名 ・件名検索:個人名、家族名、団体名、地名、統一タイトル、普通件名 [6] ダウンロードの方法は、2 種類(個別、一括)あります。個別の典拠データについては、詳細情報画面から 3 種類の形式(RDF/XML、RDF/Turtle、JSON)でそれぞれ取得できます。一括ダウンロードの詳細は、以下のペ ージをご覧ください。 一括ダウンロード用ファイル. http://id.ndl.go.jp/information/download/, (参照 2016-12-19). [7] SPARQL は、“SPARQL Protocol and RDF Query Language”の略で、RDF(Resource Description Framework)で記述されたデータの検索や操作を行うためのコンピュータ言語の一種です。 Web NDL Authorities のSPARQL の詳細は下記の仕様書をご覧ください。 Web NDL Authorities SPARQL API 仕様書(第1.0 版). http://id.ndl.go.jp/information/wp-content/uploads/2014/03/api-spec.pdf, (参照 2016-12-19). [8] 本誌2015 年1 号(通号32 号)と2 号(通号33 号)に、Web NDL Authorities が提供している典拠データに ついて、ウェブでの利用可能性の観点からご紹介したコラムを載せています。 柴田洋子. コラム:書誌データ利活用(6)―Web NDL Authorities 解読講座 その1―ウェブでつながる典拠デー タ. http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_9103524_po_2015_1.pdf?contentNo=1#page=15, (参照 2016-12- 19). 柴田洋子. コラム:書誌データ利活用(7)―Web NDL Authorities 解読講座 その2―いろいろ探せるSPARQL(ス パークル). http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_9394077_po_2015_2.pdf?contentNo=1#page=8, (参照 2016-12- 19). また、2015 年3 号(通号34 号)では、Web NDL Authorities の著者名典拠URI を使ったデータ事例をご紹介し ています。 是住久美子. ししょまろはんのLOD(Linked Open Data)に関する取組み―Web NDL Authorities の利活用事例 紹介. http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_9496832_po_2015_3.pdf?contentNo=1#page=2, (参照 2016-12- 19). -26-

NDL書誌情報ニュースレター2017年 1号 (通号 40号) 国際目録原則覚書(ICP)の改訂版が公開されました 【はじめに】 「国際目録原則覚書(Statement of International Cataloguing Principles; ICP)」は 、2009 年に IFLA によ
って策定された目録に関する指針で、1961 年に国際目録原則会議で採択された通称「パリ原則」にとって代わるも のです[1]。その後、ICP は、書誌および典拠レコードに記録されるデータを対象とした三つの概念モデル FRBR、
FRAD、FRSAD[2]からなる“IFLA Functional Requirements family”の概念モデルを取り入れ、2014年から 2015年 にかけて内容の再検討が進められました。そして、2016 年12 月に改訂版[3]がIFLAにより公開されました。この 2016 年版は、新たな利用者層やオープンアクセス環境、データの相互運用性とアクセシビリティ、発見ツール の特徴、利用者行動の著しい変化等を考慮したものとなっています。 2009年版からの変更点を中心に、2016年版についてご紹介いたします。 1.全体および構成 2016年版の構成は以下のとおりです。

  1. 適用範囲( Scope)
  2. 一般原則( General Principles)
  3. 実体、属性お よび関連(Entities, Attributes, and Relationships)
  4. 書誌記述( Bibliographic Description)
  5. アクセスポイ ント(Access Point)
  6. 目録の目的お よび機能(Objectives and Functions of the Catalogue)
  7. 探索能力の基 盤(Foundations for Search Capabilities) 2009年版から章 の順番が少し変更され、 「目録の目的および機能」 が4 章から6 章に移されました。 「書誌記述」 「アクセスポイント」の章がそれぞれ繰り上がっています[4]。 2016年版では、全体を通して「書誌レコード(Bibliographic Record) 」 「典拠レコード(Authority Record)」 の語を使わず、それぞれ「書誌データ(Bibliographic Data)」「 典 拠 デ ータ(Authority Data) 」が使われるよう になりました。これは、レコードはデータの集合の仕方と見せ方の一つであるという考えによります。
  8. 各章について ・「1. 適用範囲」 2009年版では「図書館、文書館、博物館・美術館」を対象としていましたが、2016年版では図書館コミュニテ ィに特化したものとなりました。これは、データの作成、管理、共有における他コミュニティとの連携が望まし いとする姿勢に変わりはないものの、連携が必ずしも同一の原則や定義の適用を意味するものではなく、あくま でこの原則が図書館の活動、概念モデル、標準、ツール等に基づくものであるという考えによるものです。また、 冒頭の文章において、ICPが「目録規則(cataloguing codes) 」の作成を導くとともに、 「カタロガーの判断(the decisions that cataloguers make) 」の指針となることを意図したものであると述べられています。 -27- NDL書誌情報ニュースレター2017年 1号 (通号 40号) ・「2. 一般原則 」 2009年版では9 種類の原則として、 「利用者の利便性」 「用語法の一般性」 「表現性」 「正確性」 「充分性および必 要性」 「有意性」 「経済性」 「一貫性および標準性」 「統合性」が掲げられていました。 2016年版では、さらに4種類の原則が追加されました。「相互運用性(Interoperability)」「開放性 (Openess)」「アクセシビリティ(Accessibility)」「 合 理 性 (Rationality)」です。これにより、合わせて 13 種類の原則が提示されましたが、最上位の原則が「利用者の利便性」であることは変わりません。それ以外は 特に順序づけはなく、もし対立する場合には、今回追加された「相互運用性」―図書館コミュニティ内外の書 誌および典拠データの共有と再利用の促進―の原則を優先すべき旨が示されています。 ・「3. 実体、属 性および関連」 今回の改訂は、FRBR、FRAD、FRSAD の概念モデルの統合作業(継続中)の影響を受けています。2010 年、この 概念モデルの一つ FRSAD において、FRBR で目録利用者の関心対象とされている実体で、かつ2009 年版でも実体 として挙げられていた「概念(Concept)」「 物 (Object) 」 「出来事(Event)」「 場 所 (Place)」 の 代わりに、 「Thema」 が定義され、 「Nomen」も新たに加わりました。その結果、2016年版では、以下の九つが実体として挙げられてい ます。 「著作(Work) 」 「表現形(Expression) 」 「体現形(Manifestation) 」 「個別資料(Item) 」 「個人(Person)」 「家族(Family)」「 団 体 (Corporate Body)」「Thema」「Nomen」[5]。 ・「4. 書誌記述 」 4 章(2009年版の5章に相当) にはそれほど大きな変更点はありません。2009年版の記載から、2016年版では、 ISBDが図書館コミュニティにとっての基準であること、他の基準に基づく場合には、データの相互運用性を担保 し、その適切な再利用を促進するために、ISBDとのマッピングを作成し公開すべきことが追加されています。 ・「5. アクセス ポイント」 5 章(2009年版の6章に相当)では構成が微調整され、項目名の修正がありました。2016年版では、 「典拠形ア クセスポイントの選定」が「5.3.3 優先名称の選定(Choice of Preferred Name) 」に、 「著作/表現形の名称の 形」が「5.3.4.4 著作/表現形/体現形/個別資料の名称の形」に変更されました。 また、 「著作/表現形/ 体現形/個別資料に対する優先タイトルの選定」の項に、著作に複数のタイトルがある 場合の具体的な説明が新たに追加されました。複数の体現形に、著作のタイトルの異なる形があるときは、a)著 作のオリジナルの表現形における最初の体現形のタイトル(通常はオリジナルの言語による) 、b)一般によく使用 されているタイトル、の優先順位によることが示されています。 最後に、 異形名称および名称の異なる形が典拠データとして記録されるべきものであることが明記されました。 ・「6. 目録の目 的および機能」 6 章(2009年版の4章に 相当)では、 FRSADおよびFRBR Library Reference Model(FRBR-LRM)[6]で新たに追 加された利用者タスク「探索(Explore) 」が明記されました。 「6.5 誘導および探索すること」として、その対象 を目録の中と外から、さらに他の目録や図書館外の世界にまで広げることが示されています。また、 「特定の主題 (subject)に関するすべての資料」が「特定のthemaに関するすべての資料」に改められました。 -28- NDL 書誌情報ニュースレター2017 年1 号 (通号40 号) ・「7. 探索能力の基盤」 「7.1 探索」の項では、アクセスポイントの役割について二つ挙げられています。2009 年版では確実な検索の 提供と探索結果の限定が示されていましたが、2016 年版では、後者が「探索結果の配列(collocate)と限定」に なりました。また、「7.1.1. 探索の仕組み」の項の末尾に、相互運用性と再利用の促進のために、図書館外(の 仕組み)に対しても開放され、検索できるデータであるべき旨が明言されました。さらに、典拠データの「7.1.2 中核的アクセスポイント(Essential Access Points)」の説明において、「実体の典拠形名称」「実体の異なる名 称および名称の異なる形」「実体に対する識別子」に加えて、新たに「著作の統制された名称(主題アクセスポイ ントおよび(または)分類記号)」が追加されています。 「7.2 検索」の項の末尾には、利用者が検索結果のさまざまな表示順を選択できること、可能であれば、実体 とそれらの関連の表示が優先されるべきことが追加されました。 【おわりに】 以上、ICP2016年版における2009 年版からのおもな変更点を紹介しました。なお、IFLA目録分科会のICP 改訂 にかかるタスクグループでは、今回の改訂は必要最低限のものであり、FRBR-LRMの公開を見据えたさらなる改訂 も想定している旨、2015年ケープタウン大会の常任委員会で担当者から言及がありました[7]。今後も動向を注 視してまいります。 津田 深雪 (つだ みゆき 収集・書誌調整課) [1] 収集書誌部による日本語訳(PDF ファイル)を国立国会図書館デジタルコレクションで公開しています。 http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_1000879_po_ICP-2009_ja.pdf?contentNo=1&alternativeNo=, (参照 2017-01-27). [2] 1998 年刊行「書誌レコードの機能要件(Functional Requirements for Bibliographic Records; FRBR)」、 2009 年刊行「典拠データの機能要件(Functional Requirements for Authority Data; FRAD)」、2011 年刊行「主 題典拠データの機能要件(Functional Requirements for Subject Authority Data; FRSAD)」 [3] IFLA 目録分科会のウェブサイトに原文と概要が掲載されています。 http://www.ifla.org/publications/node/11015, (参照 2017-01-27). [4] その他2016 年版では、2009 年版で付属資料だった「用語集(Glossary)」と「参考資料(Sources)」が8 章、9 章として位置づけられ、さらに「10. 使用しない用語(Terms no longer used in 2016 Statement)」 「11. 後書き(Afterward)」が追加されました。 [5] 「Thema」「Nomen」はFRSAD で追加された実体です。日本語の定訳がまだないため、本文中では訳語を付して いません。FRSAD では、「Thema」は著作の主題として使われる実体、「Nomen」はthema が関係していたり、扱われ ていると知られている記号や記号の系列(英数字、シンボル、音等)、と定義されており、ICP2016 年版の用語集 の定義でも大きな変更はありません。 山本 昭, 水野 資子訳. 主題典拠データの機能要件 概念モデル(仮訳). TP&D フォーラムシリーズ : 整理技術・ 情報管理等研究論集. 2014, (23), p. 64-96. -29-