researchmapの設計思想と その可能性 -researchmap15年の節目に- 国立情報学研究所 社会共有知研究センター 新井 紀子
researchmapとは • 研究者が業績管理・情報発信・情報共有するためのプラット フォームとして2008年から情報・システム研究機構が研究開発 したソフトウェア • CV(業績管理、経歴管理等) • 研究者に特化したSNS機能 • 研究者に特化したグループウェア機能 • ORCIDより3年早く、ResearchGate, ResearcherIDとほぼ同時期 • 2011年からJSTが実運用、現在は40万人が利用 • AIによる名寄せ、論文割り当て • APIを介したデータ交換機能も提供
researchmapの背景 • 2000年~研究に関する各種調査が 急増。研究者の多忙感、事務コス ト上昇の原因に • 2005年~大学が独自に研究業績管 理システムを開発→開発・管理費 が予算を圧迫 • 若手の任期付きポストが急増→応 募書類の形式が大学ごとに違う なぜ共通化しないの?
従来の研究業績収集フロー 研究者 WORD等で研究業績を作成 問題点: ・入力ミス、重要項目(ジャーナル名、 巻、号等)の欠損 ・網羅性が低い(共著論文の把握し忘れ) ・入力フォーマットがバラバラ→機械での 処理ができない 事務員 情報をフォーマット化 問題点: ・内容を理解していないための入力ミス ・入力フォーマットがバラバラ→人力でひたすら時間 をかけて処理 ・業者に渡してHTML化 執行部 把握すべき業績の追加項目を検討 問題点: ・独自項目が提案されることで、 システム改修コストを押し上げる。 ・研究業績管理システムの専門ではない ためシステム比較、費用対効果の検討 が十分にできない。 事務方 研究業績取りまとめと、外部資金管理・研究者 情報管理、広報は別組織。 理事会直轄の特任担当者が理事会の意向を 業者発注。 問題点: ・執行部はその場の思い付きで項目を増やす。 ・教員の研究情報公開に対するスタンスばらばら ・教員は多忙感を理由に逆切れ ・担当のURAや特任助教では教授会説得の権限 がない。
DX時代に、なぜ こんなことを続けるの?
ソリューション=researchmap • すべての大学・機関・研究者が共通で利用できる研究業績管理シ ステム(researchmap)を作ろう! • 研究者は自らの目的(競争的資金の応募書類・報告書作成)に使う。 • 事務方は研究者の業績をダウンロードし、自らの目的(調査・報告書の とりまとめ等)に使う。 • 大学は自らの目的(研究者総覧構築・競争的資金獲得のための資料作成 等)に使う。 • 文科省は自らの目的(科学技術政策のための科学等)に使う。 三方よし、四方よし
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Researchmap is a Science2.0 service for the researchers
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最適解は、局所最適解ではない ことも多いことを悟りました
「インフラ」に成長するまでに、 10年かかりました
AI for researchmap • 業績名寄せ • 研究者が登録した業績情報と、外部フィード源から取得した業績 (Scopus, WoS, DBLP, CiNii, J-GLOBAL, Amazon等)を名寄せする。 • 業績割り当て • 外部フィード源から取得した業績を、登録研究者に割り当てる。
researchmapにおけるAIの役割 researchmap Web of Science Scopus 手入力データ (データ交換) Scopus
researchmap v.2におけるAI-人協働による業績同定アルゴリズム
researchmapとの15年 • 2003年 教育機関向けCMS、NetCommonsプロジェクトを開始 • 2005年 NetCommonsをオープンソース化 • 2009年 Researchmapの提供開始 • 2011年 ReaD&Researchmap開始 • 2011年-2021年 「ロボットは東大に入れるか」(東ロボ)プロジェクト • 2016年 「リーディング・スキル・テスト」(RST)プロジェクト • 2017年 TED講演 • 2018年 「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」でビジネス大賞等8賞受賞。 • 2020年 researchmap v.2リリース • 2020年 edumapプロジェクト:すべての保育・幼稚園・小中高校に無償で機械 可読な学校ウェブサイトを原則無償提供 • 2025年 50万人がRSTを受検。
・インフラ作りが好きな人 ・(多動な人…)
インフラを作る幸せ • みんなが便利そうに使っている • 特に、若い人が当然のように使っている • 自分が考えた「最適解」が社会で実証される • 使っている人の1%も、私が開発者だと意識していない
これからも、選ばれるインフラを 世に送り出していきたいと思います