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2015 年 4 号(通号 35 号)

NDL 書誌情報ニュースレター 目 次 世界図書館・情報会議(第 81 回 IFLA 大会)、VIAF 評議会会議報告
(収集・書誌調整課 津田深雪) 1 世界の RDA の取組みのいま(3)―カナダ (外国資料課 河村悦子) 7 世界の RDA の取組みのいま(4)―RDA のフランス語翻訳 (外国資料課 十文字香奈子) 12 世界の RDA の取組みのいま(5)―フィリピン
(外国資料課 上田友明) 18 文字コード講座 第 1 回―文字コードの歴史(Unicode 前史) (電子情報部 電子情報企画課 上綱秀治) 23 NACSIS-CAT と JAPAN/MARC(A)の典拠データ同定のための予備調査について (電子情報部 電子情報サービス課 安藤大輝) 31 第 17 回図書館総合展:全国書誌利活用促進の取組み―「これまで」の総括と「これか ら」の展望 (収集・書誌調整課 斉藤みゆき) 35 コラム:書誌データ利活用(9) ―「NDL 書誌データ取得・検索シート」の使い方とカスタマイズ その 2―カスタマイズ (収集・書誌調整課 吉村風) 37 おしらせ:「新しい『日本目録規則』(新 NCR)」のページを新設しました (収集・書誌調整課) 43 おしらせ:NDC10 版の適用について (収集・書誌調整課) 44 おしらせ:遠隔研修の新規公開講座として「全国書誌データの利活用」の提供を開始 しました (収集・書誌調整課) 45

掲載情報紹介

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ISSN 1882-0468

ISSN-L 1882-0468

NDL書誌情報ニュースレター2015年 4号(通号 35号)

世界図書館・情報会議(第 81 回 IFLA 大会)、VIAF 評議会会議報告

【はじめに】
「世界図書館・情報会議(WLIC)―第81回国際図書館連盟(IFLA)大会」 が2015年8月15日から20日にかけて、 南アフリカ共和国のケープタウンで開催され、筆者は国立国会図書館代表団6 名のうちの一人として参加しまし た。書誌分科会常任委員会へ常任委員として出席するとともに、関連する分科会の常任委員会や書誌関連のオー プン・セッションにも参加しました。また、IFLA大会前日の8月14日には、同じケープタウン市内で開催された バーチャル国際典拠ファイル(VIAF)評議会会議にも出席しました。 以下に概要を報告します。

ケープ半島にある喜望峰

  1. 世界図書館・情報会議(WLIC)-IFLA 第81 回年次大会[1]
    IFLAにおける書誌関連の分科会は、図書館サービス部会のもとに、書誌分科会、目録分科会および分類・索引 分科会の三つがあります。また同じ部会の中には、戦略的プログラムとしてUNIMARCがあります。

(1) 書誌分科会常任委員会 委員長の交代があり、選挙の結果、新委員長にはスウェーデン国立図書館のミリアム・ナウリ氏(Miriam Nauri) が選出されました。続いて、委員会の活動について、経過報告や今後の計画の検討等を行いました。

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・全国書誌に係る指針の改訂 書誌分科会では、2009年刊行の全国書誌に係る指針「デジタル時代の全国書誌:指針および新しい方向性」[2] の改訂を進めています。改訂版のタイトル“Best Practice for National Bibliographic Agencies in a Digital Age”に「ベストプラクティス」とあるように、指針としてだけでなく、参考にできる各国の事例集としても使用 できるものを目指しており、改訂途中ですが、書誌分科会のウェブサイトにすでに掲載しています[3]。今後は編 集体制を強化して、新たに 2 名の委員を加えて 4 名とし、内容拡充のため、外部有識者への執筆依頼や、常任委 員による分担執筆についても案が提示されました。

・全国書誌登録簿の拡充 書誌分科会のウェブサイトには、 “National Bibliographic Register”(「全国書誌登録簿」) というページが あり、 各国の全国書誌の現況が把握できるよう、 全国書誌作成機関からの情報を取りまとめて公開しています[4]。 未登録の機関もあり、今大会が南アフリカのケープタウンで開催されることを機に、2014年来アフリカ諸国の全 国書誌作成機関へあらためて登録の呼びかけを行ってきたものの、今期は新規の登録がありませんでした。すで に登録されている機関の情報にも更新が必要なものがあるため、全国書誌に係る指針の改訂に向けての各国の事 例収集とも連動させながら、さらに全国書誌登録簿の拡充を目指すこととなりました。

・『IFLA Metadata Newsletter』について 書誌分科会は、 目録分科会および分類・索引分科会と合同で、 新たなニュースレター 『IFLA Metadata Newsletter 』 を2015年の6月に創刊しました。関連の深い3分科会の最新情報をまとめて把握できる内容となっています。こ のニュースレターについて、評価と今後の方向性をめぐって議論を行いました。好意的な声が多い中、各分科会 の記事の内容をもっと結合させるべきとの意見もあり、広報媒体とコミュニケーションチャネルのどちらの役割 を重視するかという問題提起や、ニュースレターが対象とすべき読者層は何か、Metadataの語の使用法が適切か など、活発な意見交換が行われました。

・オープン・セッション「変化する全国書誌:電子資料の納本制度に関連して」 電子書籍等のオンライン資料の全国書誌への収録と、その前提となる収集を支える納本制度の整備は、各国と もに大きな課題です。今年の書誌分科会オープン・セッションは、南アフリカ、チェコ、スウェーデン、フランス から 4本のペーパー発表が行われました。 発表後の議論では、今後の課題として、メタデータの水準、全国書誌の収録範囲、オンライン目録における電 子資料の提供方法などがあがりました。つまり、伝統的な印刷資料等と比較して急増するオンライン資料を全国 書誌で扱う上で、許容できるメタデータのレベルや、収録対象外とする資料の明確化などについてです。また、 各国とも電子資料の制度的収集の構築においては、出版者等との協働が重要であり、制度の趣旨への理解を得る ために辛抱強く交渉を重ねていることを、口をそろえて強調していたのが印象的でした。 次期のオープン・セッションは、2016年IFLA大会のテーマである ‘Connections, Collaboration, Community’ を念頭に、全国書誌のデータ・サービス・システムの三者のより深いコラボレーションを目指して、プログラム を組むこととなりました。

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NDL書誌情報ニュースレター2015年 4号(通号 35号)

(2) 関連する分科会 書誌分科会と深く関係する目録分科会および分類・索引分科会の常任委員会へオブザーバとして出席し、情報 収集を行いました。

・ 目録分科会常任委員会
書誌レコードの機能要件(FRBR)、国際標準書誌記述(ISBD)、国際目録原則覚書(ICP)、名前空間(Namespace)な どの各作業グループから報告が行われました。ICP[5]については、2015年の5 月に行われた改訂案への意見募集 において各国機関から寄せられたレビュー結果が紹介され、 今後はIFLA外のグループや有識者によるレビューを 実施した上で、2015年の末には最終案を提示する予定であることが報告されました。 ただし、FRBR、FRAD、FRSAD[6] の整理統合作業(Consolidation)の結果によって、あらためてICPの改訂作業が必要になるため、今回の改訂作業 は現状に合わせた最低限のものとなる予定です。

目録分科会のオープン・セッションでは、 「データのウェブに対する書誌情報モデリング:課題と成果」をテー マに、4 本のペーパー発表が行われました。スペインと南アフリカからの事例紹介に加え、FRBRレビューグルー プからは、FRBRの整理統合作業の進捗報告としてFRBR-LRM(FRBR Library Reference Model)について発表があ り、フランス国立図書館とISSN国際センターからはFRBRooおよびPRESSoo[7]についての紹介がありました。 2016年のオープン・セッションは、情報技術分科会 と共催で、現在は異なるグループによって作られている目 録規則、 書誌交換フォーマット、 目録システムについて、 一つの場で議論する機会を提供することになりました。 また、目録分科会は 2016年大会(開催地:米国コロンバス)のサテライト・ミーティングを「Authority Data on the Web」(ウェブ上の典拠データ)のテーマで開催する予定です。

・ 分類・索引分科会常任委員会

分類・索引分科会で検討を継続しているジャンル形式用語について、現ワーキンググループのチェアから目 録分科会に共同ワーキンググループの設置を提案したところ、目録分科会から常任委員1名が共同チェアとし て参加することになり、両分科会による検討体制を構築することになりました。

2.VIAF 評議会会議
2015年は、南アフリカ国立図書館の施設である「本のセンター」(Centre for the Book)で開催されました。次 期議長に米国議会図書館(LC)のビーチャー・ウィギンズ氏(Beacher Wiggins)、次々期議長の候補(兼次期副議長) にはケベック州立図書館・文書館のパット・リーバ氏(Pat Riva)が、それぞれ選出されました。

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NDL 書誌情報ニュースレター2015 年4 号(通号35 号)

会場の南アフリカ国立図書館「本のセンター」

(1) 現況報告 OCLC からの報告によると、VIAF 参加機関は、2015 年8 月現在で37 機関となりました。新規参加国・地域はア イルランドと台湾で、そのデータはすでにVIAF に掲載済です。韓国・チリ・カナダ・ロシアは参加手続きが完了 しており、準備が整ったところから順次テストデータが掲載されています。VIAF に収録されている典拠データ数 は5,300 万件(クラスターの数は2,900 万件)となりました。 おもな改善点や追加事項として、英語版Wikipedia からWikidata へのリンク先の変更、WorldCat の書誌レコ ードからの著作の統一タイトルレコードと表現形(翻訳タイトルと翻訳者)レコード(「xR」レコード)の生成など が報告されました[8]。現在は地名典拠や団体名典拠のマッチング作業に力を入れるとともに、地名典拠の同定等 にFAST(Faceted Application of Subject Terminology)を活用しています[9]。

(2) 今後の展開等 「VIAF 参加基準」は今回の評議会をもって確定しました。この参加基準は、参加機関を、データ提供だけでな くVIAF 評議会への参加資格がある国立図書館や国際機関などのVIAF Contributor と、データ提供によって分野 や言語等の観点からVIAF の品質向上への貢献が期待されるOther Data Provider の二つに分け、それぞれの参加 機関となるための要件等を定めるものです。 「VIAF ガイドライン」は、VIAF がデータ提供機関に求める典拠データの種類やフォーマット、備えるべき内容 と品質、提供された典拠データに対するVIAF における処理方法、適切に処理できないケースなどを整理したもの であり、今後も継続してアップデートしていくこととなりました。この中で、もし誤ったVIAF ID を自館の典拠 データに記録すると、強力なリンクによって誤ったクラスターをVIAF 内に生成する恐れがあるため、留意すべき との指摘がOCLC 担当者からありました。

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NDL書誌情報ニュースレター2015年 4号(通号 35号)

続いて、データの品質管理について議論が行われました。昨年も議題にあがった架空の人物 (Imaginary characters)の扱いについては、欧米各国で適用が広がりつつある新たな目録規則 RDA では、架空の人物を実体 「個人」として記録する規定となっており、件名を除く名称典拠を収録対象とするVIAFにおいても、ダース・ベ イダーやシャーロック・ホームズなどの典拠データが含まれるようになってきました。ただし議論の中で、フィ クション上のキャラクターなどはおおむね単独の典拠データであり、VIAF内にリンクのない、クラスターを形成 しない典拠データがいたずらに増えるのではないかといった懸念も示されています。 典拠データへの「職業」の記録については、個人名典拠の同定には非常に有効であるものの、一概に「職業」と いった場合に一般的なもの(general occupation)と専門的なもの(professional occupation)があり、典拠データ に記録すべきものの選択が難しいとの意見もありました。 新議長のウィギンズ氏からは、LC の名称典拠ファイル(LCNAF)の RDA 変換プロジェクトの現状の概要について 簡単な報告がありました。国際的な共同目録プログラムPCC(Program for Cooperative Cataloging)と LCは連携 して 2013 年から LCNAF の典拠データへの RDA 適用を段階的に実施しており、近日中に大規模なデータ変換テス トを行う予定です。 典拠データを扱う上で切り離せない個人情報の扱いに係る各国の法的枠組み等については、引き続き情報を収 集することを確認しました。

【おわりに】
筆者は今回が初めてのIFLA大会への参加であり、あわせてVIAF評議会に出席する機会を得ました。 IFLAの各分科会の常任委員会では、具体的な活動内容を通じた国際的な書誌調整への寄与が求められることを 実感しました。特に常任委員として出席した書誌分科会では、主要なプロジェクトの一つである全国書誌に係る 指針の改訂作業において、 具体的な日本の事例を整理して積極的に提示していく必要があります。 それによって、 ベストプラクティスとして厚みのあるガイドラインの作成に資することができればと考えます。 また、各セッションにおいては、各国の最新動向について情報を収集することができました。特にオンライン 資料の制度的収集とメタデータの作成、全国書誌への収録については、日本でも検討されている有償の電子書籍・ 電子雑誌の制度的収集の進捗を見ながら、各国の事例も参考に、当館の方向性を検討する必要があります。

VIAF については、当館は 2012 年に東アジアから初めて参加した機関であり、評議会メンバーとして毎年VIAF 評議会に出席しています。2015年になって同じ東アジアの台湾と韓国の参加が決定しました。すでに台湾のデー タは VIAFのインターフェース上で確認することができ、 調整中の韓国はこれから掲載されることになると思われ ます。同じ非ラテン語圏からの参加機関として、今後はこれらの機関とも協力しながら、VIAFを通じて国際的な 典拠データ調整の場へ参画していきたいと思います。 津田 深雪
(つだ みゆき 収集・書誌調整課)

[1] 今回の大会プログラム、発表ペーパーの一部については、以下に掲載されています。 http://conference.ifla.org/past-wlic/2015/ifla81/programme.html, (参照 2015-11-16). http://library.ifla.org/view/conferences/2015/, (参照2015-11-16). また、昨年2014年のIFLA大会およびVIAF評議会については、本誌2014年4 号(通号31号)の記事をご覧くださ -5-

NDL 書誌情報ニュースレター2015 年4 号(通号35 号)

い。 http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_8833058_po_2014_4.pdf?contentNo=1#page=2, (参照2015-11-16) [2] 収集書誌部訳「デジタル時代の全国書誌:指針および新しい方向性」を国立国会図書館デジタルコレクショ ンで公開しています。 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9454266, (参照2015-11-16). [3]“Best Practice for National Bibliographic Agencies in a Digital Age” http://www.ifla.org/node/7858, (参照2015-11-16). [4] 日本の全国書誌についての情報も登録されています。 http://www.ifla.org/node/2218, (参照2015-11-16).
[5] 収集書誌部訳「国際目録原則覚書」を国立国会図書館デジタルコレクションで公開しています。 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1000879, (参照2015-11-16). [6] FRBR(Functional Requirements for Bibliographic Records)、FRAD(Functional Requirements for Authority Data)、FRSAD(Functional Requirements for Subject Authority Data) [7] FRBRoo、PRESSoo については、本誌2013 年2 号(通号25 号)で紹介しています。 http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_8226998_po_2013_2.pdf?contentNo=1#page=15, (参照2015-11-16). [8] VIAF のxR レコードの生成については、本誌2014 年4 号(通号31 号)掲載の以下の記事でも解説しています。 柴田洋子. OCLC の多言語書誌構造化の取組み ―利用者にとって最適な表示を目指して,
http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_8833058_po_2014_4.pdf?contentNo=1#page=12, (参照2015-11-16). [9] FAST はLC の件名標目表(LCSH)を簡易なフォーマットで表現してウェブ上で利用しやすくしたもので、クラ スタリングやインデキシング等に有効として活用されています。

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世界の RDA の取組みのいま(3)―カナダ

【はじめに】
カナダは英米目録規則第2版(AACR2)を作成した委員会のメンバーでした。カナダの目録作成では、英語圏で AACR2が、フランス語圏でAACR2のフランス語版がそれぞれ使用されてきました。カナダでは英語とフランス語 の二つの公用語を持ち、目録作成言語として英語とフランス語の両方の言語が併用されています。 カナダはRDA開発合同運営委員会(the Joint Steering Committee for Development of RDA: JSC)のメンバー でもあったことから、カナダ国内のほとんどの図書館が一定期間でAACR2 から RDA に移行すると予想されていま した[1]。 いち早くRDAに対応した事例として、 ケベック州モントリオールにあるユダヤ公共図書館(Jewish Public Library)があります。ユダヤ公共図書館は2012年2 月にRDA対応のシステムを導入し、RDAを採用した世界初の 公共図書館となっています[2]。 カナダ国立図書館・文書館(Library and Archives Canada:LAC)は2013年3 月に米国、英国、オーストラリア の国立図書館と協調して RDA の適用を開始しました。フランス語圏では、ケベック州 立図書館・文書館 (Bibliothèque et Archives nationales du Québec:BAnQ)が同年4 月にまず単行本への適用を開始し、順次対象 を広げていきました。 本記事では、カナダの英語圏とフランス語圏のRDA研修事情と、2013年秋に実施されたRDAの導入状況調査に ついて紹介します[3]。

  1. 英語圏の RDA研修
    RDAの普及には目録作成者への研修が必要不可欠です。カナダの英語圏では、RDAの導入に向けて行われた研修 の一端をカナダの図書館関係者の有志が担いました。その他に米国議会図書館(LC)等の国外で作成された研修資 料を活用した研修もありました。 カナダでは 2010 年までは RDA の研修プログラムは存在していませんでした。2009 年からカナダ図書館協会 (Canadian Library Association:CLA)の専門サービスに関するグループ(Technical Services Interest Group: TSIG)のメンバーの一部がRDA適用のための研修について検討を行いました。RDAの認知度について調査を実施し、 この調査結果を基にカナダに適した研修モジュールの作成を始めました。その際に留意したのは、まず、RDAの理 論的な背景や、RDA 適用が今後のメタデータ作成における重要な一歩であることを理解させることでした。これ は、目録作成者が効率的なデータを作成できるようになるために必要なことでした。 TSIGのメンバーのほかに6人の目録作成者もこのグループに参加し、後に汎カナダRDA目録作成ワーキンググ ループ(Pan-Canadian Working Group on Cataloguing with RDA。以下、Pan-Canadianといいます)として知られ るワーキンググループが誕生しました。 Pan-Canadianは LCが無償で公開しているRDA研修資料等を基に研修モジュールを作成しました[4]。2010年6 月にはWiki形式のRDACAKE(RDA CAnadian Knowledge Exchange)[5]によって研修モジュールを維持管理、公開し ています。後述するRDA導入状況の調査で、回答した図書館の約3 割がPan-Canadianの研修資料を使用したと回 答しています。また、約2割がPan-Canadianの講師が行ったRDAの研修に参加したと回答しています。 回答にあったRDAの学習手段については図1のとおりです。 -7-

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図1 RDAの学習手段[6][7]

  1. フランス語圏の RDA 研修
    フランス語圏の研修事情は、有志が作成したモジュールなど複数の学習手段が存在した英語圏とは対照的に特 定の組織によって行われました。 カナダがフランス語の目録作成にRDAを導入した最初の国であったために、フランス語での研修資料は存在し ませんでした。フランス語の翻訳作業が開始されたのは2010年秋でした[8]。2013年3月の適用開始までの期間が 短かったため、BAnQとLACのRDA翻訳チームが翻訳と並行して研修資料も作成しました。ドキュメンテーション科 学技術推進協会(Association pour l’avancement des sciences et des techniques de la documentation:AS TED)がマネジメントを行い、BAnQが職員の派遣をすることで研修が行われました。最初に研修が行われたのは、 2012年11月でした。 その後もフランス語圏の研修は、過度にBAnQに依存した形で行われ、受講を希望する声の多さに対応が追いつ かない状態でした。研修実施の要望が高まった原因の一つは、各館で研修講師を務める職員の育成を目的とした 研修を想定していましたが、実際には全てのスタッフに直接受講させたいと考える管理職者が大勢いたためで す。 RDA適用後のサポートについてもBAnQが指導的役割を果たしています。フランス語版RDAが使用できるようにな ると、フランス語圏でも適用の課題を論じるフェイスブックや大学のアドホックグループ等の有志による草の根 活動も急速に増えてきましたが、館種を超えた交流はありません。RDA Toolkitでは、目録に関する決定やツー ルの共有が可能であり、フランス語圏の目録コミュニティは、そこに掲載されるBAnQの追加決定や適用方針に関 心を持っています。

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  1. RDA 導入状況調査
    フランス語圏では、2013 年に RDA の適用を開始した目録コミュニティのほとんどがケベック州にありました。 そのため、対面のワークショップのように研修の実施方式が限られていても、物理的な距離による問題はありま せんでした。一方、英語圏では、対象となる地域が広大なため、対面によるワークショップは人手と時間を要す るため、限られた資源の中で数多く実施することが難しい状況でした。そこで、より費用対効果の高い研修方式 を検討するため、2013 年秋、Pan-Canadian によってカナダの英語圏における RDA 導入状況の調査が行われまし た。サンプルの54.3%に当たる50館の回答に基づく結果は以下のとおりでした(図2参照)。

図2 カナダ英語圏のRDA導入状況[9]

50 館の内、RDA を完全に適用した図書館は 10%、部分的に適用した図書館が 56%、未採用の図書館が 34%と いう結果でした。 ただし、 未採用の図書館の内76.5%が将来的にはRDAを導入する予定であると回答しています。 RDA が適用されている資料は単行本と録音資料が多く、次いで逐次刊行物が挙げられていました。また、部分的 に適用した図書館のうち約 3 割の図書館では RDA で作成されたデータをコピーカタロギングしていましたが、オ リジナルの目録作成では完全にはRDAが使用されていませんでした。 館種別で見ると、 総合大学(University)図書館における導入率が最も高く、 適用は12.5%、 部分的適用75.0%、 未採用 12.5%でした。単科大学(College)図書館では適用は0%、部分的適用 37.5%、未採用 62.5%、公共図書 館では適用は5.9%、部分的適用58.8%、未採用35.5%、官公庁図書館では適用は25.0%、部分的適用25.0%、 未採用50.0%、専門図書館では適用は0%、部分的適用50.0%、未採用50.0%という結果でした。 館種別では総合大学図書館が最も RDA 導入に積極的であるという結果になりました。同じ学術系図書館でも単 科大学図書館の導入率が低かったのは、単科大学図書館のコンソーシアムがRDA の導入に慎重であったことが理 由でした。 0% 20% 40% 60% 80% 100% 中央地域 大西洋地域 北部地域 西部地域 専門図書館 官公庁図書館 公共図書館 単科大学図書館 総合大学図書館 全体 適用 部分的適用 非採用 館種別 地域別 -9-

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地域別でみると、最も導入率が高かったのは西部地域(マニトバ州、サスカチュワン州、アルバータ州、ブリテ ィッシュコロンビア州)で適用15.0%、部分的適用75.0%、未採用10.0%でした。反対に最も導入率が低かった のは北部地域(ノースウェスト準州、ヌナブト準州、ユーコン準州)で、適用は 0%、部分的適用 20.0%、未採用 が 80.0%でした。その他、大西洋地域(ニューブランズウィック州、ノヴァスコシア州、プリンスエドワードアイ ランド州、ニューファンドランド・ラブラドル州)では、適用は11.1%、部分的適用33.3%、未採用55.6%、中 央地域(オンタリオ州)では適用は6.3%、部分的適用56.2%、未採用37.5%という結果になりました。 北部地域の導入率が低い理由として、カナダでは北に行くほど人口密度が低いため、周囲の図書館との距離が あり連携が取りにくい、研修を受けるための費用が掛かるという回答が寄せられました。次に導入率が低かった 大西洋地域では、導入に割く時間と研修の機会がないとの回答がありました。 この調査に寄せられたコメントから、いくつかの興味深い事実が明らかになりました。大きな図書館(特に学術 系)でRDAの採用が最も進んでおり、新しい目録規則の結果とメリットについて肯定的でした。コンソーシアムに 参加している図書館では、コンソーシアムの適用方針の決定や調整に時間がかかるため、ゆるやかに導入する傾 向がありました。公共図書館は、AACR2における一般資料表示(GMD)からRDAにおける内容種別(content type)と キャリア種別(carrier type)への変更に伴って、利用者にわかりやすく伝えるための表示方法が新たな図書館シ ステムで必要になることについて、最大の懸念を表明していました。すべての館種に共通の課題はRDA Toolkit に慣れることが困難であったことと、カナダにおける適用方針の決定機関がなかったことでした。

【おわりに】
カナダの英語圏のRDA研修では、有志によって研修を行う動きがありました。有志による研修には草の根的に 助け合って行う方式の弊害として、RDAに変更があっても、誰も最新版を伝えることに責任を持たず、受講者の 自己責任になってしまうという問題がありました。一方、フランス語圏では、研修の運営を特定の組織に依存す ることになり、受講の要望に対しその企画や実施が追いつかない状態でした。 信頼のおける組織と有志による研修のバランスが、今後、カナダの英語圏、フランス語圏の目録コミュニティ でそれぞれ研修を成功させていく上での課題です。 2013年秋時点でJSCのメンバーであるカナダ国内では、英語圏に限ればRDAの導入率は6割を越えていまし た。ただし、全面的にRDAへ移行した図書館はまだ1 割しかなく、部分的に導入している図書館の方が多いとい う結果でした。RDA適用から数年経過してカナダ全体でどの程度RDAが普及したか、新たな調査が待たれます。

                                    河村 悦子  

(かわむら えつこ 外国資料課)

[1] JSCは、2015年11月、RDA運営委員会(RDA Steering Committee:RSC)に名称が変更されました。 RDA Governance Review Takes First Step in Implementation (RSC, 2015/11/7) http://www.rda-rsc.org/RDAgovernancefirststep, (参照 2015-11-20). [2] カナダのJewish Public Library がRDA対応の図書館システムを導入へ. カレントアウェアネス-R. Posted 2012年 1月 18日, http://current.ndl.go.jp/node/19938, (参照2015-10-30). [3] Emma Cross et al. In the company of my peers : implementation of RDA in Canada.
Cataloguing & classification quarterly. 2014, 52, p.747-774, doi: 10.1080/01639374.2014.899535 (参 -10-

NDL 書誌情報ニュースレター2015 年4 号(通号35 号)

照 2015-10-30). 下記のURL に要旨が掲載されています。 http://catalogingandclassificationquarterly.com/ccq52nr6-7.html, (参照 2015-10-30). [4] “RDA: Resource Description & Access Training Materials” http://www.loc.gov/catworkshop/RDA%20training%20materials/index.html, (参照2015-12-2). [5] RDACAKE. https://rdaincanada.wikispaces.com/, (参照2015-10-30). [6] [3] Figure1 を筆者が和訳しました。 [7] ALCTS は、米国図書館協会内の図書館資料およびテクニカル・サービス協会(Association for Library Collections & Technical Services) [8] フランス語圏における目録規則の動向やRDA のフランス語翻訳については、本誌今号の「世界のRDA の取組 みのいま(4)―RDA のフランス語翻訳」を参照してください。 [9] [3] Figure 2 およびFigure 3 を元に筆者が作成しました。

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世界の RDA の取組みのいま(4)―RDA のフランス語翻訳

【はじめに】
2015年 10月現在、RDA(Resource Description and Access)は4 か国語(フランス語、ドイツ語、中国語、ス ペイン語)に翻訳されています。その中でもフランス語版RDA(Ressources description et accès。略称は英語 版と同じく“RDA”)は、ドイツ語版と並び、最初に翻訳された他言語版RDAのうちの一つでした。 翻訳は、カナダ国立図書館・文書館(Library and Archives Canada:LAC)、ケベック州立図書館・文書館 (Bibliothèque et Archives nationales du Québec:BAnQ)、フランス国立図書館(Bibliothèque nationale de France:BnF)およびドキュメンテーション科学技術推進協会(Association pour l'avancement des sciences et des techniques de la documentation:ASTED)[1]のカナダ・フランス両国4 機関による合同プロジェクトとし て行われました。約3年間に及ぶ事業の過程でプロジェクトのメンバーはさまざまな課題に直面し、解決のため の戦略を練ることになりました。 その詳細は“Translating RDA into French”において詳しく述べられています[2]。本稿はこの記事に基づ き、フランス語版RDA翻訳プロジェクトの概要について紹介するものです。

【背景】
カナダは英語とフランス語を公用語とする国であり、 目録においても英語とフランス語が用いられています[3]。 フランス語を用いるカナダの図書館では1980年以降、英米目録規則第2 版(Anglo-American Cataloguing Rules, second edition:AACR2)のフランス語版(Règles de catalogage anglo-américaines:RCAA)が適用されてきまし た。そのため、RDAという新しい目録規則に移行するには、そのフランス語訳があらかじめ準備され、利用可能と なっていることが必要不可欠と考えられていました。 一方フランスでは、フランス規格協会(Association française de normalisation:AFNOR)が発行する目録規則 が用いられてきましたが、RDAの登場に伴い、その採用の実現性について検討がなされ、既存の目録規則との相違 点等の分析が行われました。検討作業の一環として、RDAのフランス語訳への取組みが行われました[4]。

【プロジェクトの経過】
RDAの最初の公開が目前に迫った2009年に、前述の4機関(LAC、BAnQ、BnF、ASTED)からなる合同プロジェクト が発足しました。 4 機関それぞれが指名した代表者によって構成されるフランス語版編集委員会 (Comité éditorial francophone。以下、編集委員会といいます)[5]が設置され、2010年6月にRDAが公開された直後に、 作業が開始されました。最終的な目標は単なる逐語訳ではなく、カナダとフランスはもとより世界中のフランス 語を用いる図書館で適用可能な、実用的なフランス語訳の作成でした。 2012年 3月 2日、米国議会図書館(LC)が2013年3月31日からRDAを全面的に導入するという計画を発表した ことにより、できる限りこの日付に近づけてフランス語版RDA を完成させることが、編集委員会の最重要の目標 となりました。 最終的に 2013 年 5 月 14日、RDA のオンライン版多言語対応ツールRDA Toolkit に収録される形でフランス語 版RDAが公開され、同年6月に冊子体が刊行されました。 -12-

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【翻訳の体制】
翻訳は、編集委員会と翻訳チームのもとで進められました。 編集委員会は前述のとおり2 か国 4 機関のメンバーで構成されていましたが、中心となる編集者は指名されま せんでした。プロジェクト参加機関すべての意見を平等に反映するための措置でした。メンバーは基本的に月 1 回集まり、進捗状況の報告と作業計画の立案、翻訳の過程で起こったさまざまな問題を解決するための議論を行 いました[6]。 翻訳チームの編成と教育には各参加機関が責任をもって当たりました。3図書館(LAC、BAnQ、BnF)からは言語ス キル(フランス語・英語)または目録作成の経験のどちらか(あるいは両方)を有するスタッフが選ばれました。全 員が本職と兼業する形で参加していました。 ASTEDは編集委員会の運営を管理し、 会合の設定や議事録の作成、 契約上の事柄に関する米国図書館協会出版局 (ALA Publishing)との連絡役、プロの翻訳家の雇用といった面で貢献しました。

【方法論の確立】
編集委員会は翻訳を開始するに先立ち、まず、以下の作業に取り組みました。翻訳全体の一貫性を高め、効率 的な作業手順を確立するための措置でした。

・ 用語集(約600の専門用語とその定義)の翻訳 ・ 約 85に及ぶ頻出フレーズのリストアップと訳語の確定 ・ 第 0 章「序論」と付録D「記述データのレコード構文」の一部の試訳[7]

校正の方法についても事前に基本的な方針が合意されました。フランスのチームが翻訳した章はカナダが校正 し、カナダのチームが翻訳した章はフランスが校正する、という原則です。カナダとフランスは必ずしも目録作 成上の伝統を共有しておらず、その慣例や用語の使用法が異なっている面がありました。そのため、フランス語 圏において共通して使用できる翻訳を作成するためにとられた対策でした。 ほかにも、各章の翻訳にあたり、必ずフランス語を母語とする者が最初の草案を作成する、草案の作成者が目 録作成者でない場合、目録経験を積んだ者がその見直しを行う、など、フランス語として自然であると同時に目 録規則としても正確な翻訳を作成するためにさまざまな努力が払われました。

【翻訳上の課題】
方法論が確立すると、 章の長さや担当者の専門分野、RDAの構成等を考慮して各チームに条文が割り当てられま した。事前に確立しておいた方法論が上手く機能する一方で、やはりさまざまな問題が発生し、編集委員会と翻 訳チームは以下に述べるような課題を克服するための方法を考え出さねばなりませんでした。

(1)一貫性の確保 翻訳の大きな課題の一つは、RDAの条文全体で何度も使われ、 フランス語ではさまざまに訳しうる用語や表現を 全体的に統一することでした。前述のとおり、編集委員会は事前に用語集と頻出フレーズを翻訳しておく予防策 をとりましたが、本文を翻訳する過程で用語集の訳との間に細かな相違が出てしまったり、リストアップしてあ った以上に多くの頻出フレーズが見つかったりしました。 -13-

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英語では何の問題もない文章が、フランス語では文法上のルールまたは翻訳者の解釈次第で何通りにも訳すこ とができるため[8]、編集委員会で従うべき翻訳のルールを改めて決めなければならないこともありました。 多くの参加者が関わる長期のプロジェクトにおいて、全体的に細かいところまで翻訳の一貫性を保つのは非常 に難しいことだったようです。

(2)「翻案」 RDA のフランス語への翻訳は、単に英語をフランス語に置き換えることにとどまりませんでした。原文の意図を 正しく解釈し、フランス語圏での使用に適した内容に「翻案」する必要のある事例が、規定条文(Instruction)に おいても例示(Examples)においても発生しました。 特に例示は、RDA 第0 章「序論」において、

「すべての例示は、優先言語が英語である機関によって記録される形でエレメントを説明している」(0.10)

と述べられているとおり、英語圏での参照を前提としたものとなっています。そのため原文の例示をそのまま用 いてよいのか、それともフランス語を優先言語とする機関によって記録される形の例示に「翻案」すべきなのか、 すべての例示を精査する必要が生じました。 以下の表は“Translating RDA into French”で紹介されている事例の中から筆者がいくつかを選び、RDA Toolkit の規定条文および例示を参照した上で、解説をつけたものです。

表 規定条文または例示を「翻案」している事例 条文番号 英語原文 フランス語版 解説 1.7.1 別法 The Chicago Manual of Style
Lexique des règles typographiques en usage à l'Imprimerie nationale

Le français au bureau de Noëlle Guilloton et
Hélène Cajolet- Laganière 大文字使用法、句読法等の取扱いに関し、優先的に選択でき るスタイルマニュアルの具体例が挙げられています。 英語原文のThe Chicago Manual of Style は英語圏の状況を 反映したものなので、フランス語圏での参考文献としては適 当ではありません。 フランス語圏にはThe Chicago Manual of Style に相当する 一つのマニュアルがないので、フランス語版ではフランスと ケベックそれぞれで出版された二つの文献に差し替えられて います。 2.7.2.6.3
例示 [Denmark] [Danemark] 資料が制作された場所が特定できなくても、制作が行われた 国が判明していれば、その国名を制作地として補記します。 これは推定の制作地デンマークを補記する場合の例示です が、制作地は「最も適切な言語および文字種で補記する」 (1.4)と規定されているエレメントに該当するため、国名がフ ランス語による表記に変更されています。 -14-

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9.6.1.4 For a Christian saint, record Saint.

(訳: キリスト教の聖人 は、Saintと記録す る。) Pour les saints chrétiens, enregistrer saint ou sainte.

(訳: キリスト教の聖人 は、saint または sainte と記録する。) 個人の識別において、英語では聖人を表すのに用いられるの は一つの用語(Saint)なのに対し、フランス語では文法的な性 別の一致のルールがあるため、saint(男性の聖人)と sainte(女性の聖人)の二つの用語が挙げられています。 11.2.2.5.2
例示 Schweizerische Nationalbibliothek

not Biblioteca nazionale svizzera

not Bibliothèque nationale suisse Kansalliskirjasto

et non Nationalbiblioteket 公用語を複数持ち、そのいずれもが目録作成機関の優先言語 ではない団体の優先名称としては、資料でおもに用いられて いる言語形を選択します。 英語原文の例示はスイス国立図書館ですが、スイスの公用語 の一つはフランス語なので、フランス語版の例示としては不 適当です。 フランス語版では、フランス語が公用語ではない別の団体(フ ィンランド国立図書館)に差し替えられています。

(3)技術的な課題 翻訳されたフランス語の各条文は、最終的に、RDA Toolkitにおいて統合した形で表示されます。統合にあたっ て、条文は、段落や例示などのブロックごとにIDが付与され、データベースで管理されます。その際、原文と翻 訳のブロックが完全に一致していないと 2 言語表示機能の障害となるため、翻訳の構成は英語版の条文のブロッ クに忠実に従わなくてはなりませんでした。この並列構造は翻訳に厳しい制約を課すもので、脚注を付けて翻訳 上の問題を処理するといった、冊子体であれば可能な方法が制限されることになりました。 合字のようなフランス語特有の文字への技術的な対応も必要となりました。 たとえば、 “œ ” という合字は “work” (著作)のフランス語訳“œuvre ”に含まれており、RDAの中で頻繁に用いられます。RDA Toolkitの中でこうした 文字にも対応できるようにするため、ALA Publishingとの緊密な協力のもとで統合検索エンジンの改良とテスト が行われました。 アルファベット順の配列になっているテキスト(用語集や索引など)を翻訳後にソートし直す際にも、フランス 語版 RDA の利用者にとって自然な配列になるよう、言語固有の使用法を考慮して細やかな調整を行う必要があり ました。 フランス語版は RDA の初期の翻訳の一つであったため、時として技術的な問題を最初に提起することになり、 RDA Toolkitに対し、英語以外の言語に対応できるようにするための修正を求めていくことになりました。

【おわりに】
2013年 5月に公開されたフランス語版RDAは、2011年にRDA開発合同運営委員会(Joint Steering Committee for Development of RDA:JSC)[9]が採用した修正と、2012年10月にリリースされたRDA Toolkitまでの細かな 変更等を反映したものでした。その後もできる限り英語版の最新内容に近づけるべく、編集委員会のもとで更新 が続けられています[10]。 カナダでは、LAC が 2013 年 3 月に RDA を導入しました。BAnQ でも、2013 年 4 月以降、資料群ごとに段階的な -15-

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適用を開始しました[11]。 フランスでは検討の結果、RDA への移行を長期的な目標と位置付けつつも、フランスの目録作成の慣例と照らし 合わせて満足のいかない点があること等を理由として、すぐにRDA を採用することは見送られました[12]。2014 年11 月、BnF と高等教育書誌センター(Agence bibliographique de l'enseignement supérieur:ABES)が「書誌 移行」(Transition bibliographique)計画に関する文書を公表し[13]、目録を「書誌レコードの機能要件」 (Functional Requirements for Bibliographic Records:FRBR)[14]に則したものに発展させつつ、新しい目録規 則の編集を徐々に進めていく体制を示しました。RDA-FR(“Transposition française de RDA”(RDA フランス転換 版)の略称)と名付けられたこの目録規則は、将来フランスがRDA を採用するまでの移行期の目録規則です。RDA の 構成に可能な限り基づきつつ、フランス固有の事情を反映したもので、完成した部分から順次ウェブ上で無料公 開されています[15]。すべて完成するまでは従来のAFNOR の目録規則が併用されます。

十文字 香奈子
(じゅうもんじ かなこ 外国資料課)

[1] カナダのフランス語を用いる図書館員の協会。英米目録規則第2 版のフランス語版の出版者であり、RDA フ ランス語版の冊子体“RDA : ressources : description et accès”の刊行も担当しました。 [2] Clément Arsenault, Daniel Paradis and Pat Riva. Translating RDA into French. Cataloging & Classification Quarterly. 2014, 52(6/7), p. 704–722, doi: 10.1080/01639374.2014.889059, (参照 2015- 11-20). 下記のURL に要旨が掲載されています。 http://catalogingandclassificationquarterly.com/ccq52nr6-7.html, (参照 2015-10-20). RDA のフランス語翻訳に関しては、フランス語圏のRDA 利用者によって開設されたサイトに関連する資料類への リンクがまとめられています。 http://rdafrancophone.wikispaces.com/Traduction, (参照 2015-10-20). [3] LAC は英語とフランス語の両方で、BAnQ はフランス語で目録を作成しています。 [4] RDA 採用に関するフランスの検討の経過については、下記の「書誌移行」計画専用のサイト(後述)に掲載さ れています。 ABES, BnF. “Historique des travaux français sur RDA”. Transition bibliographique. http://transition-bibliographique.fr/enjeux/historique-travaux-francais-rda/, (参照 2015-11-30). [5] ベルギーからもボランティアが参加していました。フランス語版RDA の冊子体の一部(表紙や奥付、前書き) が公開されており、最終ページにメンバーの一覧が掲載されています。 http://www.rdatoolkit.org/sites/default/files/rda_pages_liminaires_pdf.pdf, (参照 2015-10-20). [6] メンバーが2 大陸3 か所(オタワ近郊のガティノー、モントリオール、パリ)に分散していたため、会合はテ レビ会議により開催されました。 [7] 翻訳作業は、(1)ALA Publishing から提供されたExcel テンプレートへの翻訳データの入力、(2)テンプレ ートの提出、(3)データベースへのテンプレートの投入、(4)PDF ファイルの出力、という手順で行われました。 PDF ファイルは冊子体のソースファイルであると同時に校正のツールとしても活用されましたが、第0 章の試訳 の段階でPDF の生成スクリプトに多数の不具合が見つかり、プロジェクトを通じて調整がなされることになりま -16-

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